2016年5月7日土曜日

僕は勉強ができない

新幹線の中で読み終えた山田詠美さんの「ぼくは勉強ができない」という小説について感想を書いてみようと思います。この小説の主人公・時田秀美は祖父、母、子という家庭環境で育った女の人にモテモテの男子高校生です。彼の周りには素敵な大人たちに囲まれて、楽しんだり悩んだり忙しい日々を過ごしているわけですが、ただの明るく笑える青春小説だけではなく、人はどうあるべきなのか、他人とどうかかわっていったらいいのか、哲学的な思索に満ちています。愛と性、学問と将来、価値観と先入観など今の高校生が直面している苦悩や喜びが生き生きとつづられています。主人公はタイトル通り勉強が苦手ですが、勉強よりも多くの素敵で大切なものを知っています。例えばサッカー、そして恋愛。居心地の悪い学校生活の中で、彼は生きる楽しさと勇気を教えてくれるような感じがしました。いい成績をとって大学に行けばまともな人間になれる?勉強ができなければ落ちこぼれ?どうして「父親がいないから」と世間の価値観にそぐわないくらいで、子どもの人格が否定されるのか?作品内にはスマホやネットも登場しませんが、全く古臭さを感じないのはこれらの今でも尚有効な問いと真正面から向かい合っているからではないかと思います。実は1999年のセンター試験の国語にこの「ぼくは勉強ができない」の中の「眠れる分度器」という作品が扱われたわけですが、平均点が低い問題として「伝説の問題」となっているそうです。センター試験は感情に流されてはいけないと言われているそうですが、感情移入して読んでしまいました><それが平均点が低い原因だとか…。さて、今の若者はゲームに熱中して読書をしないと言われていますが、この本はいったん読み始めたら心を鷲づかみされたような面白さとパワーがありました。今回はこんな感じで。次回のissie’s読書感想文も乞うご期待(笑)

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