中学校の理科教師をしている友人と話す機会がありました。その時の話ですが、イモリとヤモリの違いは勿論言うまでもなく、イモリが両生類でヤモリが爬虫類です。見た目もすぐ分かるはず。お腹が赤いのがイモリでそうでないのがヤモリです。漢字で書くと分かりやすいですね。『イモリ』=『井守(井戸を守る)』、『ヤモリ』=『守宮(家を守る)』。さてヤモリとイモリは生活場所や見た目、呼吸法などは異なっていることはご存知かと思います。しかし、新たに違いがあることを知りました。イモリは手足に吸盤のようなもので張り付いて歩きます。実はヤモリもそう考えられていました。しかし、ヤモリの足の体毛と壁面の間で分子間力が働くそうです。つまり接着剤と同じ原理でくっついているというわけですね。分子間力(ファンデルワールス力)というのは、文字通り分子と分子の間に働いているごく弱い力のことで、理想的には分子は電気的に中性で極性はないけれども、実際は分子を構成する原子の周りを電子がまわっているために電子の位置に偏りがあって、ごく僅かながら極性が生まれるます。この極性によって分子同士がくっつこうとする力をファンデルワールス力と呼びます。ちなみに水を冷やすと水分子同士がくっついて固体になるのもこの力によるものです。(冷やすと分子の運動が小さくなって接近しやすくなる)当然ながらこの力は非常に弱い上に分子同士がものすごく接近しないと働きません。逆にいえば、十分に分子同士が接近すればたとえ異なる物質であっても両者の間には分子間力が働くということですね。接着剤の原理は実はこれを利用しています。つまり、物と物との間にある分子レベルの凹凸に入り込んで固まり、対象の分子と接着剤の分子の間に隙間がなくなるため、両者の間に分子間力が働いてくっついてしまうというわけなのです。どうやらヤモリは、足の裏の毛の先がさらに細かく分かれていて、それが壁面の分子レベルの隙間に入り込むことで、脚を『接着』しているらしいのですが…。これがナノテクっていうやつですね。
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