issie’s読書感想文。またもや山田詠美さんです。作品は「蝶々の纏足・風葬の教室」。今回は「蝶々の纏足」の感想を書いてみます。幼なじみのえり子に支配され、いつも引き立て役の瞳美の女の子二人の物語。このえり子の支配の仕方が支配していると誰にも気付かせないような巧妙さなのですが、かわいい顔をして、悪気もなく、瞳美をいつの間にかしばりつけて精神的に追いつめていくのを読んでいて瞳美が痛々しく思えました。自分をよく見せるすべを知り尽くしているような女の子。そんな中、瞳美は同級生の麦生に恋をします。男との関係によって大人の女であると自分を誇るわけですが、麦生に恋をしたのは、えり子から逃れるためだったのかなぁと思うと、えり子の支配はここまで深いのかと恐ろしくなってしまいます。ラストのシーンですが、久しぶりに会ったえり子の伯父のセリフ・・・「かわいかったなぁあの子。僕が寒色系の色を男の色、暖色系を女の色と教えると、嬉しそうに言ったんだよ。そうか。瞳美ちゃんの服は男の色でえり子のは女の色なのね。じゃあ私たち男と女じゃないのってね。」それを聞いた主人公の瞳美は、溢れてくるものをこらえきれず泣き崩れる。川は同じように流れている。けれど小鳥を飲みそこねた蛇はもう二度と流れてはこないのだ。というラストですが、作品全体印象が変わりうまいなあと感じました。そして、女の子同士の友情って男の子のものと比べると随分複雑だと思いました。すごく執着したり、憎しんだり・・・。僕はその友情の過程で、恋愛の疑似体験いわば練習のようなものを二人はしていたのではないかと解釈したのですが、読まれた方のラストの解釈をお聞きしたところです。また、瞳美もえり子のことを好きだったからこそ、憎しみも抱いたのではと思うわけなのですが…。愛したとはまた違うと思います。どちらにせよ、女の友情は優しく、時に恐ろしいと感じました。
2016年5月27日金曜日
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